自社開発・受託開発・客先常駐(SES)の違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

プログラミングスクール

エンジニア転職をするにあたってエンジニア業界にはどんな就職先があるのかリサーチしておくことは非常に重要です。

なぜなら、これを知っておかないと後悔する可能性が高いからです。

一口にエンジニアといってもその働き方、企業は様々です。

  • エンジニアの就職先ってどんな種類があるの?
  • それぞれにどんなメリットとデメリットがあるの?
  • どんな会社を選べばキャリアップしていけるの?

こんな疑問を解決する記事を用意しました。

今回はエンジニアの就職先を自社開発企業、受託開発企業(SIer)、客先常駐(SES)の3つに分けて解説していきます。

結論を先にいいますと、

本記事の結論
  1. 自社開発企業のメリット:労働環境がホワイトになりやすい。他
  2. 自社開発企業のデメリット:自社商品が失敗するリスクがある。他
  3. 受託開発企業のメリット:幅広い技術経験を積める。他
  4. 受託開発企業のデメリット:納期が顧客都合になりやすい。他
  5. SESのメリット:極端な残業は求められない。他
  6. SESのデメリット:多重下請け問題、案件ガチャ問題。他

まずはそれぞれの代表例を上げました。このほかの要素についてもわかりやすく解説します。

この記事を書いている私はプログラミングスクール比較専門サイトを運営し、受講生やエンジニア経験者に独自に取材、アンケートを行ってきました。徹底的な業界調査、比較分析により、あなたに必要な情報をお届けします。

自社開発・受託開発・客先常駐(SES)の違い

まずは自社開発企業、受託開発企業(SIer)、客先常駐(SES)の違いについて解説しましょう。

  1. 自社開発企業
    自社のWebサービス、アプリケーション等を商品として開発・公開・販売する企業。
    企業例)メルカリ、ヤフー、楽天、LINE、サイバーエージェント、GREE、Google、DeNA、freee
  2. 受託開発企業(SIer)
    クライアントの企業内情報システムや業務用ソフトウェア、Webサービス、アプリケーション製品の開発を請け負う会社。
    企業例)日立製作所、大塚商会、野村総研、NTTデータ、システナ
  3. 客先常駐(SES)
    エンジニアを主に受託開発会社に出向させて業務にあたらせる企業

自社開発企業は対一般ユーザー、対企業向けに自社サービスを販売する企業ですね。
企業例にあるような有名企業から、駆け出したばかりのスタートアップ企業まで様々です。

受託開発企業はクライアント企業からのオーダーに合わせて開発を請け負います。各クライアント企業内の情報管理システムから、航空システムや金融機関システムなど私たちの生活に欠かせないシステムの構築など、携わる案件は企業により様々です。

SES企業は案件を請け負うのではなく自社の技術力を他社に提供するスタイル。受託開発会社が請け負ったプロジェクトで人材が足りない、といった場合にSES企業からエンジニアを派遣してもらうような感じです。

自社開発企業のメリット・デメリット

自社開発企業は「クライアントから発注を受ける」ということがないため、自社都合で業務を進めることができます。社風もカジュアルな雰囲気の会社が多く、エンジニアの就職先として最も人気があります。

対一般ユーザー向けのサービスを開発しているのか、企業向けのサービスを開発しているのかで雰囲気も違ってきますが、自社商品=Webサービス、アプリケーション等なのでエンジニアとしてのやりがいも大きいでしょう。

自社開発企業のメリット

自社開発のメリット
  1. 労働環境がホワイトになりやすい
  2. 自社商品がヒットすれば給料が上がりやすい
  3. サービスの企画から携わることができる
  4. 特定技術のプロフェッショナルになれる

労働環境がホワイトになりやすい

「労働環境がホワイト」のひとつとして残業が多くなりにくいということが挙げられます。
これはお客様から受注する受託開発と違い、自社サービスを自社で開発する企業は自分たちの都合で業務を進めることができる=納期に追われにくい➔残業が少なくなる というサイクルになりやすいのです。

業務を自分たちのペースで進めることができる。それでも業績を伸ばすことができている会社は、社員の働き方にも優しくなれるでしょう。

ただし、すべての自社開発企業が残業が少ないというわけではありません。

駆け出しスタートアップ企業などはとにかく自社サービスを軌道に乗せるために必死になる期間があります。そういった期間はがむしゃらに残業してでも頑張る期間は必要になるでしょう。

自社商品がヒットすれば年収も上がる

どの会社もそうですが、商品がヒットすれば社員はボーナスなどの恩恵を受けられます。
自社開発企業の場合、自社サービス=商品ですから、LINEやメルカリのようにサービスが当たれば会社の業績は右肩上がり。商品開発のメインとなるエンジニアは特に恩恵を受けやすいでしょう。

受託開発やSESの場合、「自社のサービスがヒットする」ということはないので、爆発的な恩恵を受けることはありません。その点、自社開発企業は夢があるといえますね。

サービスの企画から携わることができる

自社開発企業は商品の企画~開発、公開、販売まですべて自社で完結します。

受託開発の場合はクライアントの要望通りに開発することが仕事ですが、自社開発企業の場合は自分のアイデアが形になるチャンスがあるためモチベーションも上がりやすいでしょう。

特定技術のプロフェッショナルになれる

自社開発企業は自社サービスを継続して運営していくので、特定領域の専門知識が深くなりやすいでしょう。
特定領域のプロフェッショナルになることができれば、フリーランスとして自身のスキルを最大限に活かすことも可能です。

このように、自社開発企業の場合「自社で開発したサービスをお客様(一般ユーザーや企業)に販売・提供する」という会社なので、外部の縛りを受けにくく自由な社風の会社が多いのが特徴です。

自社開発企業のデメリット

一見メリットしかなさそうな自社開発企業ですが、デメリットもあります。

また、駆け出しのスタートアップ企業なのかすでに成長した企業なのかによっても待遇はかなり異なります。

自社開発のデメリット
  1. 自社商品が失敗するリスクがある
  2. 身につくスキルが狭くなりがち
  3. 広い人脈を得られにくい
  4. 未経験からの転職はほぼ無理

自社商品が失敗するリスクがある

スタートアップ企業は軌道に乗るまでは収益が出ません。

なぜなら、自社開発企業の商品は自社で開発したアプリやソフトウェアなので、それが売れないことには売り上げにならないからです。最悪の場合、投資した巨額の開発費を回収できないリスクもあります。

未経験エンジニアが就職できる可能性がある自社開発企業というのは、こうしたリスクのあるスタートアップ企業です。スタートアップ企業は少数精鋭のところが多いので開発段階から主要な部分に関われる可能性が高いですが、軌道に乗る前の会社の場合、経営破綻するかもしれないというリスクをしっかり理解しておくことをおススメします。

身につくスキルが狭くなりがち

自社開発企業では自社のサービスを開発したら、そのサービスを運用、保守、アップデートしていくことがメインの仕事になります。そのため特定の技術を深堀するようなスキルの身に付き方になりがちです。

受託開発のようにプロジェクトごとに新たな技術を身につけるといったことはできないため、幅広い技術は得にくいという特徴があります。

広い人脈を得られにくい

仕事が自社内で完結する自社開発企業は、社外の人と関わる機会がありません。

そのためフリーランスとして独立を考えている人はそうした「人脈作り」という面に関してはメリットを感じずらいでしょう。

とはいえ最近はエンジニアのオンラインコミュニティも豊富にありますし、社外で人脈を作るのはそんなに難しいことではないかもしれませんね。

未経験からの転職はほぼ無理

ホワイトで働きやすいイメージの強い自社開発企業へ転職したい現役エンジニア、エンジニア希望者はとても多いです。ですが自社開発企業ははじめからスキルレベルの高い人を募集する傾向にあるため、開発経験の浅い、または未経験からの転職はほぼ無理だといえます。

そのため最初は未経験から入りやすいSESで経験を積んで・・という人が多いですが、そうではなく未経験から自社開発を目指すことも不可能ではありません。

未経験からの自社開発企業への転職者を多く輩出しているプログラミングスクールもありますので、気になる方は覗いてみてくださいね。⇩

このように自社開発企業の中でも企業規模、商品の売上によっても待遇はかなり違いがあるため、一概に「自社開発企業に就職すれば間違いない」とはいえません。

しかし傾向として良い条件がそろってる会社が多いのも事実です。しっかりと企業ごとのリサーチを行って後悔のない企業選びをしましょう。

受託開発企業(SIer)のメリット・デメリット

クライアントから発注を受けたシステムを開発する受託開発企業。

クライアント企業の要望通りの開発をすることが仕事なので、クライアントとのパワーバランスによって受託開発企業側も苦労に違いがあります。

受託開発企業(SIer)のメリット

受託開発企業のメリットは「安定」「スキルアップ」が大きく上げられます。

自社開発と比較すると業績に波がなく、爆発的ヒットは出ないかわりに費用を回収できないというリスクがほぼありません。エンジニアとしての開発経験も多く積むことができます。

受託開発のメリット
  1. 幅広い技術経験を積める
  2. 業績が安定しやすい
  3. 幅広い人脈を得られやすい

幅広い技術経験を積める

プロジェクトごとに異なる要望を受けて開発する経験を積むため、幅広い技術が身に付きやすいという特徴があります。様々な技術を持っていることは、フリーランスになったときに非常に強みとなります。

業績が安定しやすい

システム開発を望むクライアントの数だけ案件がありますので、売上が安定しやすい傾向にあります。
また、一度良い商品を納品すればその後の継続的な運用保守も受託できるケースが多いためこれも売上安定の理由です。

広い人脈を得られやすい

受託開発企業はクライアントと何度も打ち合わせを重ねるためクライアントとの関わりが密接になりがちです。
信頼関係が生まれそこから新たなクライアントを紹介されることも。

また、転職時や独立時にもここで得た人脈から新たな転職先、案件にたどり着くこともあるでしょう。

受託開発企業(SIer)のデメリット

受託開発のデメリット
  1. 納期が顧客都合になりやすい➔残業が多くなりがち
  2. 開発物がヒットしても恩恵を得られない

納期が顧客都合になりやすい

クライアントありきの形態のためどうしてもクライアントの要望が優先されてしまうのがデメリットでしょう。

短い納期で仕事することすることを余儀なくされるケースもあり、そうなると受託開発エンジニアは残業が多くなります。程度は企業のよって様々ですので、入社前に社員の残業時間がどのくらいなのか確認しておくとよいでしょう。

開発物がヒットしても恩恵を得られない

自社開発では商品がヒットすればそれが自社の売上に直結し、社員の給料にも反映されやすいですが、

受託開発の場合、納品したらその商品がヒットしようがしまいが売上は変わりません。

売上が安定する代わりに大きなヒットも生まれないというのが受託開発なのです。

ただし良い商品を納品すればクライアントがリピートしてくれるという利点はありますね。

客先常駐(SES)のメリット・デメリット

エンジニアを必要としている現場に常駐して仕事を行う=エンジニアを客先常駐させる企業のことをSES企業といいます。SES企業の顧客は受託開発会社です。(または同業上位のSES企業)
「クライアントからシステム開発を請け負っている受託開発会社のさらに下請け」という位置づけになるため、立場が弱くなりがちと一般的にみられています。

客先常駐(SES)のメリット

あまり良いイメージがないSESですが、もちろんメリットもあります。

客先常駐(SES)のメリット
  1. 人脈が広がりやすい
  2. 極端な残業は求められない
  3. 案件ごとに幅広くスキルアップできる

人脈が広がりやすい

プロジェクトごとに現場が変わるSESエンジニアは、関わる人も多くなります。
特に受託開発会社(SIer)の人とのかかわりが多くなるので、大手SIerからヘッドハンティングされたりなど、客先に転職するケースもあります。フリーランスとして独立したときに客先から仕事をもらえるなどのメリットがあります。

極端な残業は求められない

意外と思われるかもしれませんが、SES企業のエンジニアは極端な残業を求められないケースが多く見られます。

一つの理由として、プロジェクトの責任者は元請である受託開発会社にあり、SESエンジニアにはお金を出して働いてもらっている形態なので、SESエンジニアに残業されすぎるとその分経費がかさむことが挙げられます。

クライアント企業とSES企業の間で事前に決めた労働時間内でのみ働くことが原則ですので、それ以上を求められることは基本的にはありません。

ただし中には仕事を得るためにかなり不利な条件で契約しているSES企業もありますので、このあたりは入社前にきちんと確認しておきましょう。

案件ごとに幅広くスキルアップできる

プロジェクトごとに現場が変わるSESエンジニアは、経験した現場の数だけスキルの幅が広がります。

これはSES企業の営業手腕にもかなり左右されますが、良い営業マンがいる会社のSESエンジニアはスキルアップのチャンスになる案件を回してもらえるので現場が変わるごとに新たなスキルを身につけています。

後でデメリットで説明しますが反対のパターンもありますので、これはもうSES企業全般というよりも「各会社による」に尽きると言えますね。

客先常駐(SES)のデメリット

SESエンジニアのデメリットは次の3つのことがよく言われています。

客先常駐(SES)のデメリット
  1. スキルアップの限界
  2. 多重下請け問題
  3. 案件ガチャ問題

ひとつずつ解説します。

スキルアップの限界

先ほどメリットとしてあげた「幅広いスキルを身につけられる」とは、矛盾するようですが、多くのプロジェクト、現場を経験してスキルの幅を広げても、スキルアップには限界があります。

なぜなら、プロジェクトの納品義務、責任はSESからみたクライアント(またはクライアントのクライアントかもしれない)=受託開発企業であり、開発の最も重要な要件定義・設計ポジションを担うのも元請企業の社員だからです。
つまり、SESエンジニアがする仕事は元請企業内で手が足りていない部分のため、もっと上流工程のスキルを身につけたいと思ったら元請企業への転職を考える頃合いということになります。

多重下請け問題

SES企業のクライアントは主に受託開発会社となります。

受託開発会社はエンドユーザーから仕事を受注する元請け企業です。SES企業は元請企業から依頼を受けてエンジニアを常駐させるいわば2次請ということになります。

2次請までならまだいいんです。ところが元請企業がさらに下請け企業(2次請)に仕事を流し、その2次請企業が常駐先になることもあります。(SESエンジニアは3次請ということになる)

大きいプロジェクトになればさらにその下、4次、5次、6次も現実にあるわけで。

下請けになればなるほど割り振られる報酬もどんどん下がる=エンジニアの給料も下がるという構造があるのです。

下請けになればなるほど任される仕事はスキルレベルが低くてもできる下流工程。報酬も低くなります。

ですので、SESエンジニアとしてスキルアップを図るならば、なるべく上の部分で仕事を受注している会社に入社するべきなのです。

そして先ほどの述べた通り、SES企業に所属している状態で身につけられるスキルには限界があります。

だからSES企業に入社したならば、30歳前に元請企業(受託開発会社)か自社開発企業へ転職することをおススメします。

とはいえ未経験から元請け企業、自社開発企業に入社するのはかなりの狭き門。そのため、多くのプログラミングスクールが、まずはSESで経験を積んでから転職しましょうというわけなんですね。

案件ガチャ問題

多重下請け問題と並んで問題視されているのがこの「案件ガチャ」問題です。

SESエンジニアは数か月~数年ごとに常駐先が変わります。身につくスキルは案件によって大きく左右されます。

きちんと自分の希望にマッチした案件が回ってくればラッキーですが、そうでないことも少なからず起こっているのです。そういった場合、スキルアップにならない下流工程ばかりに数年もの時間を取られ、気が付けば強みになるスキルを身につけられないまま30代になってしまった・・・というエンジニアが溢れているのです。

この「案件ガチャ問題」は入社前に優良SES企業を見極めることで回避できます。

優良なSES企業は仕事をとってくる営業が優秀であり、きちんと自社エンジニアのスキルを理解しています。

そのほか、自分自身の希望や意欲を営業担当者にきちんと伝える努力も必要です。

「案件ガチャ問題」は優良SES企業を見極めること、自分自身の伝える努力で解決が可能です。

まとめ:自社開発・受託開発・客先常駐(SES)の違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

本記事の内容をまとめます。

自社開発企業

メリット

  1. 労働環境がホワイトになりやすい
  2. 自社商品がヒットすれば給料が上がりやすい
  3. サービスの企画から携わることができる
  4. 特定技術のプロフェッショナルになれる

デメリット

  1. 自社商品が失敗するリスクがある
  2. 身につくスキルが狭くなりがち
  3. 広い人脈を得られにくい
  4. 未経験からの転職はほぼ無理
受託開発企業(SIer)

メリット

  1. 幅広い技術経験を積める
  2. 業績が安定しやすい
  3. 幅広い人脈を得られやすい

デメリット

  1. 納期が顧客都合になりやすい➔残業が多くなりがち
  2. 開発物がヒットしても恩恵を得られない
SES企業(客先常駐)

メリット

  1. 人脈が広がりやすい
  2. 極端な残業は求められない
  3. 案件ごとに幅広くスキルアップできる

デメリット

  1. スキルアップの限界
  2. 多重下請け問題
  3. 案件ガチャ問題

このようにそれぞれにメリット、デメリットがありました。

自身が未経験なのか、すでに開発経験があるのか、年齢、学歴、などの条件によっても選ぶべき種類も変わってくるでしょう。また、一般的によいとされる自社開発企業も企業によって条件は様々ですし、SES企業でも優良企業を選べばスキルアップ➔転職してステップアップは十分可能です。

「どの種類の会社に入るか」の大事ですが、「自分に入社チャンスがある会社の中から、優良企業を見極める」ことの方がとても大事だと思います。

完全未経験からIT業界に入るとなると、誰でも入れるようなブラック企業しか選択肢がない可能性が高いですが、プログラミングスクールで実務に近いアウトプット経験を積めば、次のような利点があります。

  • 自社開発企業へ応募する土俵に乗れる
  • きちんと優良企業を選別しているスクールなら、優良スクールを紹介してもらえる
  • 受講期間内でIT業界の企業選びのコツ、ステップアップ方法を講師から学べる

単にプログラミングのカリキュラムのことだけでなく、上記のような利点があるのです。

次の記事は優良企業に入るために利用したいおススメスクールを紹介していますので、参考にしてみてくださいね。